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はじめにご一読くださいませ

当ブログへようこそお越しくださいました!
管理人の月桜キキと申します。
自作の二次創作物を中心としたブログですので、同人や二次創作にご理解のない方はご遠慮くださいませ。

取扱い作品、傾向は以下の通りです。

【暁のヨナ】
ハクヨナハク中心、現時点ではほぼハクヨナハクベース。ですがCP色の薄いものや他キャラの話もあります。
現在のところNLオンリーですが管理人はスウォハク傾向も。単品ではキジャ愛。密かにジュドヨナも。
城時代と未来話が多いです。


【聖闘士星矢】
無印原作ベース。LC、エピG、セインティア設定引用。カラー設定はアニメベースのご都合主義満載です。
聖戦後みんな甦ったよ☆な星矢二次創作あるある設定。
双子座のサガ最愛でサガクラスタ黄金クラスタ。二次創作もサガ中心で黄金兄さんと女神と時々青銅。
取扱いCPはアテサガアテナ(左右固定なし)がメインで時々サガ右固定の何か。
アイオリア愛。蟹様とディーテ様も大好き。
基本的にヘテロ嗜好ですが時折BLも。
管理人傾向はアテサガアテナ、ロスサガ、カノサガ、デッサガ、星サガ。
他、色々雑食気味に美味しい(*´・ч・`*)
聖戦後ばかりですが気まぐれに過去話も。


【他作品】
宇宙世紀中心にガンダムと富野作品が好きなのでたまに書く可能性も。
ハマーン様最愛でジュドハマジュです。



二次創作は記事タイトルにCP表記します。如何わしいものは鍵かけてます。
閲覧は自己責任でお願いいたします。
鍵→5532123a!

それでは、何かひとつでもお気に召しますように。




月桜キキ 拝

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テーマ : お知らせ
ジャンル : 小説・文学

サガ沙ss『piece of mind.6』 サガとさおりん。サガアテナなのかアテサガなのかってやつ。


「昨日ね、アフロディーテが神殿の庭園に薔薇を植えてくれたのです。とても綺麗なの……サガ、よかったら見に来てくださいな」

朝食後のコーヒーの味を満喫しながら、沙織は目の前に座る双子座へと華やかな笑顔を向けた。

「それはようございました……では、後ほど伺わせていただきます」
「ええ。それと折角ですからお昼をご一緒しませんか?神殿のテラスで」

一週間振りの沙織の誘いにサガは一瞬驚いた様子を見せたが、直ぐに穏やかな笑顔を浮かべ小さく頷く。

「ありがとうございます。午前の執務が済み次第参ります故」

ふわりと笑いそう返答する青年に、沙織もまた瞳を細め嬉しそうな笑顔を返す。
それから、他愛もない幾つかの会話を交わした後、席を立ち軽く一礼する彼を見送った沙織は手にしたコーヒーカップをテーブルへと置き小さく息を洩らした。

深く考えるまでもなく拒絶されはしないだろうことに対し柄にもなく緊張を感じた自分自身に苦笑しつつ、彼女は昨日のアフロディーテの言葉を思い出していた。

(迷ってはいけない)

胸の内でその言葉を反芻し、そっと瞳を閉じる。我侭を貫くことを躊躇ってはならない。

だって私は踏み出してしまったーー思えばもう一年以上前に。
神の力を使い人の理を捻じ曲げて、皆を呼び戻して。
……無理矢理、彼を目覚めさせて。

「思えば私、昔から我侭なのでしたね」

サガが目覚めて暫くの後、彼に会うため聖域を訪れた星矢に揶揄されたその遣り取りをふと思い出し、沙織は軽く肩を竦めると苦笑を浮かべた。
城戸財閥総帥の孫娘として何不自由なく育てられたことの所以だろうと、幼い頃の彼女の気質を幼馴染の聖闘士たちは評価する。けれどもきっとそれは自分の本質なのだろうと、朧気に記憶に残る遥か昔の天界での己の振る舞いとも照らし合わせ、彼女は思った。
勝利の女神を常に傍らに従えた戦神アテナ。その在り方は何処までも自分本意だ。

けれどもそれでいいのだ、と沙織は思う。そうでなければ、自分が立たねば、神々の侵略からこの地上は護れない。

「……サガ」

それから、執務室へと向かった男の名をぽつりと紡ぎ、薄く開いた己の唇にそっと指先で触れた。今も胸に残るあのひとの熱と感触。あの日、触れたら応えてくれたのは彼が私の聖闘士だからーーそれはその通り、なのだろうけど。

ーーどのような貴女も、貴女でありましょう?

穏やかで艶やかに空気を震わす、低く耳障りのよい声音が不意に沙織の脳裏を過ぎる。そうだ、アフロディーテも昨日同じことを言っていた。あのふたりは何処か考え方が似ているのかも知れないと知らず目を細め、彼女は窓の外の他愛ない朝の光景に視線を移した。

(ならば……赦してもらえるのだろうかーー私は)

天に向かい歪な波紋を描く亜麻と緑の万華鏡にも似た枝葉の隙間から零れ落ちた、やわらかな光が積み重なる新緑の絨毯が風に吹かれそよぐ姿をぼんやりと眺めながら、沙織は声には出さずに独り言ちた。
それから、自らが胸の内で紡いだ問いが紛れもない希望ーー願いであることに気付き息を呑む。

(赦されたいーー?)
(私が……あのひと、に?)

こんな願いは有り得ない……あってはならないはずだ。
主だの臣下だのの前に、私は人ではないのだ。神と呼ばれる、人間に対して絶対的な優位者のはずなのだ。
神が人に赦しを乞うなど、そんな立場の逆転はーー私の感情どうこう以前に、あのひとの価値観を壊してしまいはしないか。

ーー貴女の思いが、神から人へ向けるものであれ、女が男へと向けるものであれーー

自らの思いに戸惑う沙織の脳裏に、昨日神殿の庭園で魚座の青年が紡いだ言葉が鮮明に響き渡る。謳うように流れる心地よいテノールは、やがて魅惑的な女の声に変わり。

「アフロディーテ……勝利が約束されたゲームなんて、そんなものはきっとーー」

苦い思いをその美貌に浮かべ、沙織は魚座の青年と、それから彼女とは対極に位置する女神へとぽつりと告げた。









女神神殿の庭園へとサガが足を踏み入れたのは正午を少し過ぎた頃だった。

真昼の眩しい陽射しを浴びて淡く煌めくシャンパンゴールドの、綻びかけた幾つもの大輪の薔薇の蕾を双眸に映し出し、その見事なまでの美しさに彼は思わず息を呑んだ。

「……金華山……」

アフロディーテが植えたという薔薇の品種がまさかこのオールドローズであるとは思いもしなかったサガは、半ば呆然とした呟きを洩らす。

「まあ……!サガはこの花の和名をご存知なのですね」

目の前の青年がこの薔薇を、日本と自分との縁としてくれたことーー好きだと言ってくれていたこと。そしてきっと、敢えてアフロディーテがこの薔薇を選んで植えてくれたこと。
それを秘密だと言われた通り、沙織は何も知らない素振りで驚いてみせる。

「……はい。嘗て日本に渡り、広く人々から愛された品種なのだと聞き及んでおります」
「金華山……とても風情のある、美しい名ですよね」

そのように言われても、漢字や日本語に馴染みの薄いサガには共感が難しく、少し困ったように曖昧な表情を浮かべた。けれども沙織はそれを気にするでもなく件の薔薇の苗へと視線を移し、やわらかでいながら何処か切なげに、微笑う。

「きれいな、黄金色ーーまるで貴方のようです」
「……は?」

まさか自分が薔薇の、それもアテナの半生の如き歴史を持つ金華山の色彩に喩えられるなどと予想するはずもなく、己の立場も忘れ思わず口を滑らせたその問い掛け……とすら呼べないサガの声に、沙織はくるりと振り返るとふわりと蕩けるような、酷く幸福めいた表情で。

「貴方の、小宇宙のいろです」
「……小宇宙?」
「はい。とてもきれいな、優しい黄金色……私には、そう見えるのです」

まるで夢見るような女神の眼差し。本来、力の具現であるはずの小宇宙が彼女にはそのように映るのかーーこの方の瞳には、この世界はどのように映し出されているのだろうか。

サガのこころに去来するのは純粋な驚きと疑問。だが、それはやがて別の形となって彼の身の内に、落とされた水滴の如く波紋を描いていく。


貴女を取り巻く景色を、世界のいろをーー


「……サガ?」

眼前に佇む青年の表情が何時の間にか消え去っていることに気付き、沙織は怪訝な顔で彼の名を呼ぶ。
自分は何か不用意なことを言っただろうか?黄金聖闘士たる彼の小宇宙を、花に喩えたことが彼の矜持を傷付けてしまったのだろうか?
違う。きっとそんなことで彼が誇りを傷付けられるなど有りはしない。それを分かっていながら……否、分かっていればこそ焦燥にも似た思いが己のこころをざらりと撫でるのを沙織には止められなかった。

「あの、サガ……ごめんなさい私」
「ーーいえ。失礼を……人の身には小宇宙の可視化という概念がなくーー少し驚いてしまい」

咄嗟に常の表情を浮かべそう告げるも、サガは己の中に密やかに頭を擡げる、だが幸いにして明確な欲とは言えぬ思いを自覚していた。そして同時に主たる女神へと向けるこころにまたひとつ、ノイズが混じったことにも。

人は、神にはなれない。
そして己がそれを望むことも決してない。

それだけは純然たる事実であるのに、たった今、それにも拘らず望んだことがある。


この方と同じ光景を、見ることができたならーーと。


「アテナ……貴女のお気を煩わせるようなことはーー何も」

普段通りの穏やかな表情で彼は主へと告げる。その言葉通りでなければならないと己に言い聞かせるように。
決して彼女にそれを見せてはならない。それどころか打ち捨てるべき願いであるとサガは自身の中に生まれた思いの質を評した。

それは、どうしようもないものだ。
人が神になれないのと同様に、神の魂は存在する限り神であるのだ。

「……ですが、サガ」

何でもないはずはないだろうと、沙織は己の双子座へと問を重ねる。自分の不用意な発言に思うところがあったとしても、それがサガの個人的感情に由来するものである限り彼はそれをどうこうは言わないだろう。それは自分がサガの主であり女神である以上、彼にとっては当たり前のことなのだ。

それを分かっていながらも、沙織は嫌だ、と思った。自分は彼にこんな風に接してほしいのではない。我侭なのは分かっている。けれどもそんな線引きなどーー私は、要らない。

「アテナ?」
「お願い、ですから……サガ」

俯いてしまった沙織の様子に今度はサガが怪訝な表情を浮かべた。哀しげな、まるでこの庭園の新緑の中に消え去ってしまいそうな心細い姿。彼女にこのような顔をさせてしまっているのは恐らく自分なのだろう。
神である沙織には己が先ほど抱え込んだ、捨て去るべき願いも見通されているのかも知れないと思い至り、彼は眉を寄せ秀麗な美貌を曇らせ主を見詰めた。

何かを言わなければならないーーだが、咄嗟に紡ぐべき言葉が見付からず唇を咬む。相手の意を酌むこと、他者の感情や立場に寄り添うこと。決して不得手ではなかったそれらのことが全く以てできずにいる自分自身に苛立ちを覚えながら胸の内で自問する。
自分は何をしているのだ。この方の望む言葉は何だ。どうすれば彼女は先ほどまでの眩しいまでの笑顔と凛とした佇まいを取り戻してくれるのかーー

幾ら逡巡を重ねても回答は得られない。大いなる小宇宙を宿した戦女神であるはずの目の前の少女は消え入りそうな風情のままで。

ざわり、と庭園の枝葉が揺れる音が聴こえる。

一陣の風が、儚く散った名も知らぬ小さな花弁を幾つも巻き込み立ち尽くすふたりの髪と身に纏う衣装を揺らし吹き抜けていく。

「ーー!」

風がーー突風、などとは到底呼ぶことのできないほどの単なる涼風が、巻き込んだ白い花弁と共に彼女を……眼前に佇む華奢な少女を連れ去ってしまうような錯覚を覚え、サガは咄嗟に腕を伸ばし自らの主であるはずの少女を引き寄せる。
彼の腕に抱え込まれた沙織は驚きに瞳を見開き、己の双子座を伺い見た。何処か焦燥に駆られたような、切羽詰ったような様子の青年にどうしたのかと小さく問えば、彼は目に見えて安堵の表情を浮かべ。

「……いえ、風に煽られた草の葉がーー御身を傷付けやしまいかと……失礼致しました」
「まあ……!ありがとう。でも私そこまで弱くはないですよ?一応戦女神なのですから」

身を離すでもなく、沙織は鈴を転がすように笑う。笑いながら、思い掛けず触れることのできた青年の体温に泣きたくなるような、こころが蕩けていくような心地を覚えそっと双眸を伏せた。
何となく、告げられたサガの言葉は真実とは少し異なるような気がする。自分が女神であるとか彼の主であること以前に、吹き抜ける風が運ぶ欠片など光速を手にした黄金聖闘士が身を呈するに値する障害物ではないだろう。

欲しいものを、このひとはまた与えてくれたのだろうか。
私はーー昨日アフロディーテに言われたように、こんな風に彼に接してほしいのだろうか。

線引きもなく、垣根もなく、世界中の何処にでもいる恋人同士のように。

「ーーねえ、サガ……貴方は」

沙織の唇から、謳うように紡がれる旋律。
告げるべきではないだろうと、分かってはいた。
分かっていたけれども自然と口を突いて出た、赦してくれますか?との沙織の問い掛けがサガの耳朶を打ったーーその時だった。

一瞬、間近で力強い小宇宙が立ち上がり直ぐに収束する。例え聖闘士であろうとも本来許可なく立ち入ることなどないはずのアテナ神殿の庭園への闖入者の気配に、咄嗟にふたりの視線が一点へと注がれた。
緑の波紋を天へと掲げる大樹の、物言わぬ白亜の幹の向こうに、何者かが確かに存在する。
但し何処かで触れたことのあるような小宇宙……現在の聖域の守備体制を鑑みても恐らく相手は敵ではない。そうは理解しつつも不遜に過ぎる闖入者を捨て置くことはできまいと厳しい表情で前を見据えるサガの腕の中から、沙織が待って、と小さな声を上げた。

「アテナ?」
「大丈夫ですよ、サガーーお久し振りですね」

ふわりとサガに笑い掛け、沙織はするりとその腕の中から抜け出すと、姿の見えない闖入者へとそう告げた。















小宇宙は感じるもの、だと思うのですが可視化はしてないような。
だけど神様には『視る』こともできるかなって……何となく。
細かいことは気にしない!



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

ハクヨナ前提未来話 『路傍の花』.3 ユン、ヨナ、ハク+α。女王陛下のサロン再び。オリキャラ登場しますのでご注意ください!


生成に萌葱を重ねた長衣の裾を捌きながら外回廊を抜け奥宮殿に入ると、その先に拡がる空間は穏やかな静寂に覆われていた。

表宮殿の喧騒とは打って変わった落ち着いた雰囲気に俺はふう、と安堵の溜息を洩らし一旦止めた歩を再び進める。
視界の片隅に映った、奥宮殿に控える女官が俺の姿を認めて軽く会釈する。淡々とした表情ひとつ変えず、一言も発することなくーー取り立てて存在を主張することのない女官の姿勢は非常に清々しく、些かうんざりしていた気分が持ち直すのを感じた。

此処は本当に居心地が良い。

表宮殿のざわついた空気と、そこに控えるあからさまに媚を売った所作の若い女官たちの、欲に塗れた厚化粧の顔をふと思い出した俺は思わずめんどくさ、とぼそりと呟きもう一度嘆息する。
そりゃ今現在この国を運営する中核にあたる、誰もが羨む地位も名声も手に入れた自他共に認める天才美青年の俺に擦り寄りたい気持ちは分かるけどさ。
めんどくさいんだよ、そういうの。
野心家は嫌いじゃないけど、他人の野心に便乗するみたいなのは不愉快だ。

だけど、俺の王は言う。
彼女たちは皆貴族や良家の子女なのよ?家や一族の繁栄のためにそういう生き方をしているの。勿論それが必ずしも彼女たちの幸せな選択だって言うつもりはないわ。でも、国力の維持には必要なことだからーー

苦笑しながら、ほんの少し寂しそうに。
ごめんね、我慢してね、なんて言う彼女にそれ以上の文句なんて言えるはずがない。

だけど、俺の王は宮殿に上がる所謂『良家の子女』の生き方の選択肢の限定を良しとしてはいなかった。
彼女たちの存在意義が国家の繁栄、国家に属する一族の繁栄のためというなら、いっそ媚を売られる立場になったらいいんじゃないかしら?
そんなことを、彼女は中庭の東屋でお茶を飲みながら俺に向かって笑いながら言った。
大きな紫紺の瞳をキラキラ輝かせて。

「ねえ、陛下は?」
「はい。中庭においででございます」
「そう、ありがと」

佇む女官とすれ違いざま徐に問い掛けると、彼女は相変わらず淡々とした表情と口調で端的に答え、再び俺に一礼した。

彼女はーー彼女だけじゃない、奥宮殿に仕える女官は、女官でありながら学生……所謂士官候補生だ。
女官として上がった娘たちの中で才能と気概を持ち、そして女王自らが提示した生き方の可能性を掴みたいと願った者は皆奥宮殿に集められた。奥宮殿で、一日の大半を国政に携わるための勉学に励みながら交代で女官としての最低限の業務を行う。
さすがに国王の居城でそれはまずいんじゃないかと訴えたら、どうせ奥宮殿の女官なんて暇なんだし、私は大概のことは自分でできるからいいのよと長く市井で暮らした女王はからりと笑った。
難色を示す重臣には「貴方たちの娘さんが出世したら王族のお婿さんだって取れるわよ?」で、まあ些か乱暴に押し切っちゃって。

お陰様で、俺はめちゃくちゃ忙しい。
宰相として国政を執り行う傍ら、彼女たちの教育の一端を担ってる。
まあ出来るけどね、俺は天才美青年だから。

「もう少しだ、イクス」

かつて放逐された神官の生き残りを捜し出し手篤く保護した女王の取計らいで、今は王都の俺の屋敷で暮らす恩師の姿を脳裏に描きながら独り言ちる。

お願いがあるんだ、と講師の任を受ける交換条件を俺は女王に提示した。
全国に学校と診療所を開設したい。金持ちのためのやつじゃなくて、誰もが通える施設として。
皆が笑って暮らせるように。豊かになれるように。病や飢えで苦しむ人が減るように、と。

そしたら、彼女は悪戯めいた笑顔で。

「じゃあユン、貴方が先生を育ててね?まずは彼女たちの何人かを先生の先生にすればいいわ。開設資金は私が何とかする……それでいい?」

高華の緋い龍は、朗らかに高らかに、俺にそう告げたんだ。










奥宮殿の内回廊を、女王を訪ね中庭に向かうべく歩いていると、ぱたぱたと軽快な靴音が進行方向から響いてくる。ごく短い間隔で石畳を踏み締めるそれは子供の足音だとすぐに知れた。
程なくして視界に映る、癖のない黒髪を短く切り揃えた幼い少年に向かい注意がてら呼び掛ける。

「殿下!」
「……ユン先生!」

屈託のない子供特有の笑顔で俺の名を呼び、転がるように駆け寄ってくる少年の双眸は、女王のそれと同じいろを宿している。
殿下はホント可愛いなぁ誰かさんとは大違いだ、なんて笑う切れ長の瞳をした人懐っこい風の部族長の姿をふと思い出した俺もまた小さく笑った。

「廊下は走るなっていつも言ってんだろー?もし転んで怪我でもしたら……」
「そっか、めんどくさいことになるんだよね?ごめんなさい先生」
「……。それもあるけど、母上が心配するだろ」

物事の判断基準がいつの間にか「めんどくさい」か否かになってしまったこの小さな教え子をまじまじと眺め遣った俺は内心で苦笑いする。全く、口癖ってやつは恐ろしい。

「うん……ごめんなさい先生」

そんな俺を、目の前の小さな教え子は母親譲りの紫紺の瞳で真っ直ぐに見上げながら神妙な面持ちで謝罪の言葉を口にした。うん、ホント誰かさんとは違って素直だよね。
分かればいいよ、なんて優しく言ってやれば少年はぱっと表情を輝かせて小さな手で俺の腕を掴む。

「ユン先生!中庭で母上が待ってるよ?」
「母上はひとり?」
「ううん、将軍と一緒!」
「……そっか」

屈託のない眩しい笑顔で告げられた幼い少年の言葉が俺の胸にちくりと突き刺さる。ちらと彼の双眸を覗き込むようにして窺い見たけど、黎明の空のいろみたいなこの子の瞳に悲しみの光なんてものは少しだって浮かんでやしない。

(勝手な押し付けなのかなーーヨナ)

大人の都合で振り回されるこの子の言葉にいちいち傷付いて、同情めいた思いを向けるのは……俺の、身勝手な押し付けなんだろうか。

「先生、早く!」

逡巡する思考に囚われ掛けた俺のことなんて知ったことかと言わんばかりに、子供特有の甲高い声が耳に響く。
天真爛漫を絵に描いたような少年の姿に、知らず俺は口元を綻ばせていた。

「分かったから、走るなっての!」

ぐいと手を引く子供の背丈に合わせて屈みつつ、俺は口を突いて出た嗜めの言葉とは裏腹に小さな教え子に合わせて駆け出した。










奥宮殿の中庭へと続く扉を開けると、若草の香りが俺の鼻腔に飛び込んでくる。
何時のことだったか、俺の王とーー仲間と共に初夏の森を歩いた記憶が脳裏を過ぎり、その言い知れぬ懐かしさに自然と瞼が閉ざされる。一瞬にして俺を包み込む、涙を誘う郷愁の念。しかしそれは俺の手を引く少年の一声で薄い被膜が弾けるように霧散した。

「母上ー!ユン先生を呼んできたよー!」

俺の小さな教え子は、そう叫びざま先ほどの遣り取りなどまるでなかったことみたいに東屋に繋がる石畳の小路を駆け出していく。
転ぶなよ、と翡翠に金銀の刺繍が施された上布を纏った小さな背中に呼び掛けた俺はゆっくりと周囲を見回しながら彼の後に続き細い小路を歩き出した。

一面の緑青に彩りを添える、咲き乱れた月白の小花。その奥には、目が覚めるような紅紫がその鮮烈な存在を主張している。

ああーー今年も芍薬が見事に咲いた。

数年前、この庭園に野生の植物であるはずの芍薬の種を植えたのは俺の王と、王の片腕であるところの男だった。
野生の花なんて高華王に似つかわしくないんじゃないか、なんてちょっと思いはしたけど。でも、考えれば考えるほど芍薬ほど彼女に似合う植物はないと思えてしまって。

(ホント、よく分かってるよね)

女王の庭園に芍薬を植えることを提案した黒髪の男に向けて、俺は胸の内でそう呟きながらゆっくりと歩を進めていく。あと何年かしたらあの芍薬の根っこは薬になる。ああ、その頃には全国に診療所が出来てるはずだ。
本当に楽しみだ、と俺は単純に来たるべき未来を思う。きっとまたひとつこの国は豊かになる。皆が笑って暮らせる国になる。女王の権威は益々増して俺の名声も高まるだろう。こんなに楽しみなことはないじゃないか。

軽い足取りで小路を進むと、やがて前方に豪華な装飾が施された石造りの東屋が姿を現した。扉のない入り口にちょこんと佇むのは俺を置いて駆け出していった小さな教え子。

「殿下」
「あ、ユン先生!母上、ユン先生が来たよ!」

俺の呼び掛けに振り返り、小さな少年がそれは嬉しそうに声を上げた。その満面の笑顔は眩いばかりでーーホント可愛い。誰かさんとは大違いだ。
先ほどと同じ感想をしつこいくらいに繰り返しながら東屋の門を潜ると、その中央に設置された机を挟んだ正面に奥宮殿のーーいや、この国の主がゆったりと腰掛けていた。
金と紅を重ねた豪奢な装束に身を包み穏やかに微笑む美貌の若き女王の姿はきっと見る者を釘付けにしてしまうだろう輝きと、神々しいまでの威厳に満ち溢れている。だけど『彼女』をよく知る俺は別段何も感じることなく、ただ「きれいだね」と正直な感想を述べた。
気安い俺の言葉に、女王は苦笑いで小首を傾げる。そんなところ、彼女はやっぱり変わらない。

「窮屈で仕方ないわ」
「しょうがないでしょ、今夜は他国の使者と晩餐なんだから。今日の相手は使者ったってれっきとした王族なんだからね!」
「分かってるわよ。だから打ち合わせに来てくれたんでしょ?」
「まあね。遅れてごめんヨナ、ちょっとバタバタしててーーところでさ」

長いこと変わらない、気安い遣り取りを遮った俺は中途半端に結い上げられたヨナの緋い髪をちらと見て、それから彼女の隣で波打つその髪を幾房か掬い上げている黒髪の美丈夫を一瞥した。

「何やってんのさ、あんた」
「何ってーー見て分かんねえの?髪結いだよ」
「じゃなくて!何でそれを雷獣がやってんのさ?」

この!天才美青年であるこの俺に向かって「頭おかしいんじゃねえの?」とでも言わんばかりのその口調!正直胸倉掴んでやりたい気分だけど、俺はそれをぐっと堪えて冷静に、そして思いっきり白けた眼差しをくれてやる。

「それこそ女官の仕事でしょ……いくらあんたが器用ったってさ」

すると、今度はヨナがころころと笑いながら口を挟んだ。

「皆勉強が忙しいのよ。こんなことで彼女達の手を煩わせるわけにはいかないわ」
「こんなことって……」

だから重要な晩餐会だって言ってるじゃないか。そりゃあヨナの『使えるものは何でも使え』って姿勢には賛同するけどさ。
思わず肩を落とした俺は大仰な溜息を洩らすと改めて女王とその寵臣の姿を眺め遣る。金糸の刺繍を地模様に重ねた、艶を放つ絹で誂えた黒装束はその傍らに座る紅と見事なまでの対比となって一枚の絵画のようだ。だけど何というか、非常に目の毒だ。
子供の教育に悪いとまでは言わないけど。

そんなことを思いながら俺の隣に立ったままの教え子をちらと見れば無邪気な笑顔を女王と、その隣に佇む男へと向けていた。
子供だから、というよりもこの子にとっては他愛ない日常の姿なんだろうなと思い直し肩を竦める。

「殿下、今夜は外国からお客様が来るからね」
「うん。大丈夫、ご挨拶とか作法とか僕いっぱい練習したから!」
「そうだね。立派な殿下の姿を先生楽しみにしてるから。ちゃんと母上の隣にいるんだぞ」
「はい!」

教え子と今夜の最終打ち合わせをしつつ頷き合っていると、ヨナの『髪結い』が終わったらしい雷獣が俺達の前に大股で近付いてきた。それから「ユン、借りるぞ」と主語のない一言の後俺に向けていた視線を移動させる。

「殿下、母上の花を」
「うん!」

その短い遣り取りを置き去りにして、さっさと雷獣は東屋から庭へと出ていく。そして彼の広い背中を追い、俺の教え子がぱたぱたと小さな足を動かして後に続いた。
雷獣はそのまま庭の奥の方へと真っ直ぐに進んでいく。後ろを振り返ることはなかった。だけど少年の歩調に合わせているのが分かる。
風牙の都でもきっとああだったんだろうなーかつての部族長としての手腕や武力以外の部分でも風の部族内でやたらと評判の良い青年の後姿を眺め、俺はひとり小さく笑うと緋い髪を綺麗に結い上げた女王に向き直った。

彼女は穏やかな表情で、紫紺の瞳を庭園の片隅を眺めている。雷獣と殿下を見ているんだって、ひと目でわかる。
ゆったりと腰掛ける女王の艶やかな姿を見遣りながら、俺はここ数年胸につかえているーー日を追うごとに強くなる疑問を口にした。尤も、この質問も何度目になるか分かんないけど。

「ねえ、ヨナ」
「なあに?」
「ヨナは……このままでいいの?」

彼女の正面に腰を下ろした俺は、彼女を真っ直ぐに見据えーーほんの少しの上目遣いを忘れずにーーそう切り出した。
ヨナは一瞬キョトンとして、キラキラ輝く紫紺の瞳を見開いた後小さく首を傾げる。

「このままって?」
「だから……前も言ったけど、雷獣のこと」
「ハク?」
「うん。ヨナはこのまま雷獣と結婚しないでいるの?」

高華国は本来女性に王位継承されない。その慣例を破ってヨナは王位に就いた。それだけの価値が彼女にはあったから。だけど、彼女が結婚すれば王位は彼女の夫に移るーー少なくとも、そう主張する古臭い輩は確実に存在する。それをねじ伏せることは容易だけど、国内で余計な敵は作りたくない。各部族との間に妙な波風が立つことも避けたい。そう判断して、ヨナが独身を貫いていることは知っている。だけど。

「うん。しないわ」

いつも通りの笑顔でさらりと返ってくるヨナの返事を、俺はもう何度聞いただろう。分かってるよ、それがいちばんめんどくさくない選択だって。

だけど。

「王婿とか大公とか、新たな地位を作ることだってできるんだよ?」
「……新しい派閥争いが生まれるわ」
「雷獣はそんなの寄せ付けないでしょ」
「ハクは良くても、ムンドクやテウが大変よ。それにーー」

今は良くても、いつかまたこの国に女王が立ったときに波風が立つわーーそう、彼女は少し寂しそうな笑顔で。
そのときの女王の夫が、どんな人物か分からないでしょ?他国の人も知れないし、なんて。

そんなの、そのときの権力者がどうにかすることだ。
遠い未来の不確定な不安の種を摘み取るためにヨナが、それからあの子が我慢することなんてないじゃないか。

「……殿下は、いつまで経っても雷獣のこと、父と呼べない」

ぽつりと洩らした俺の言葉にヨナは一瞬驚いたようにに双眸を見開き、それからふふ、と小さく笑った。

「ねぇユン、それってそんなに大切?」
「そりゃあ……!」

当たり前だろ、と思わず上げた俺の声を制したヨナは小首を傾げて可笑しそうに問いを重ねてくる。

「私はユンをユンと呼ぶけれど、じゃあユンは宰相ではないの?」
「それは役職名でしよ……」
「ハクは、私のこと相変わらず姫さんって呼ぶわ」
「……」

その切り返しに応酬の言葉が見付からず黙った俺に、ありがとうと笑ったヨナは軽く肩を竦めると鮮やかな紅を引いた唇を綻ばせて。

「見て、ユン」

彼女の視線が指し示す方向を請われるまま追えば、視界の先には陽射しを浴びて一層鮮やかに映る翡翠の衣を纏った幼い少年と、黒装束の男の姿。
小さな手に大輪の紅い花を一輪、大事そうに抱え小路を歩く殿下を背後から守護するように、ゆったりとした歩調でその後に続く雷獣は、力強くありながらもその表情は酷く優しげで。



ーー父親の貌をしている。そう、思った。



「私達は、このままでしあわせなのよ」

ユン流に言えば『めんどくさ』くないしね、と戯けたように付け加えたヨナがもういちど、朗らかに笑う。
その双眸の光の中に悲しみや諦観なんて、ひとかけらだって見い出せない。

「母上!母上のお花だよ!」
「ありがとう、あなたが摘んでくれたの?」
「うん!いちばんきれいに咲いてたやつだよ」

それからぱたぱたと、最後は駆け足で飛び込んできた俺の教え子に、ヨナは心底嬉しそうな笑顔を向けた。まるで彼が手にしている大輪の牡丹のように華やかな笑顔だった。

大輪の、紅い牡丹。花王と呼ばれる、国王のーーヨナのための花だ。

「殿下」
「うん、将軍」

殿下に続いて東屋の門をくぐった雷獣は、小さな手から紅い牡丹を受け取るとそのままヨナの隣に立ち、自ら結い上げた彼女の髪に器用な手付きで牡丹の茎を挿し入れた。
その様子を、黒髪の少年が満面の笑顔を浮かべ嬉しそうに見詰めている。

ああ、なんて眩しい。

「さてと……少ししたら行きますか、姫さん」
「そうね、今すぐ行って皆のお手伝いしてもいいけれど」
「余計なことしてその花散らさんでくださいよ」
「うるさいわね」

分かってるわよ、と頬を膨らませたヨナはずっと前から見てきた、昔と何ら変わることないヨナだ。
普段通りの雷獣との遣り取りも、やっぱり変わらない。

「ユン、どうしてあなたは宰相として此処にいるの?」

不意に、ヨナの問い掛けがぼんやりと眼前の光景を眺めていた俺の耳に響く。
思わず声の主をまじまじと凝視した俺に、彼女はもういちど問いを繰り返した。

「ねえ、どうして?」
「ーー俺の、望みを叶えるためだ」
「うん。私も私の望みを叶えるために此処にいるわ」

今が幸福でないのなら、私はとっくに動いているわ。そう、言外に告げられたのだと思った。
そうだ。ヨナにはそれだけの権力がある。

「うん、そうだねーーヨナ」
「ユンの望みはなあに?」
「皆が笑って暮らせる国を作ることだ。それから」
「それから?」
「ーーイクスを、神殿に」

一旦言葉を切り、一呼吸あけて今度はゆっくりと噛み締めるように、そう告げた。

俺の屋敷で保護するんじゃなくて、預言者イクスが本来在るべき場所へ。
それが、俺の願い。幼い俺を救ってくれたイクスへの、せめてもの恩返しだ。

勿論それが難しいことだって分かってる。昔のように神官が王を凌ぐ権力を持つことを危惧する声は必ず上がるだろう。たとえイクスにそんなつもりはなくたって。
だから俺は此処にいる。王に次ぐ権力を確実にして、間違ってもイクスが窮地に立たされたり糾弾されたり利用されたりしないような状態を構築維持しなきゃならない。
そして、これは俺にしかできない。ヨナの手を煩わすことはできない。

「うん、そうね……ユン」

だけど、俺の王は眩しい笑顔でこう言うんだ。

「一緒に頑張ろうね」
「ーーヨナ」

「イクスは、私にとっても大切な恩人よ?だから一緒に頑張りましょう?」



それはまるで、燦然と輝く太陽のように。





艶やかに結い上げた髪を飾る大輪の紅い牡丹が、何の曇りもない女王の笑顔を鮮やかに彩っていた。










『路傍の花』ーEpisode.3 “おかえり”
太陽に 灼かれながら ともに いさぎよく いきましょう















お久し振りです。
ずっと書きたかったこの話、やっと書くことができました。
百合と芍薬と牡丹、3種類ぜんぶ書けたので満足です!

はじめから3種の花に合わせて3部作と決めていたので、構築した妄想はここまでです。
でも、また何か思い付いたらこの妄想軸で書きたいです。
その際にはお付き合いいただけたら嬉しいです♡




サガ沙ss『piece of mind.5』 沙織とアフロディーテ。アフサガアテナみたいな。


眩しい陽射しを浴びて白く輝く大理石のテラスの横でゆったりとした佇まいをみせる大樹が、澄み渡る蒼に向かい歪な波紋を描いている。

白亜の石畳に腰を下ろし、地上の戦女神は優しい亜麻色の枝の先端を彩る翠緑に遮られやわらかく大地に降り注ぐ木洩れ陽に双眸を細めた。
純白のドレスの裾を、まるで繊細なレースのように大樹の枝葉の影が幾重にも影を落としゆらゆらと揺れている。
自然が描くその美しさに、沙織は泣きたくなるのを堪えながら新緑に彩られたアテナ神殿の庭園を見渡した。
視界の先から、軽やかな土の音が聴こえる。
庭弄りなどという行為すら優雅に映る、美の女神の名を冠する青年の姿を遠くに捉えながら、彼女はまた同じことを考える。

(何故、あのひとは私に応えてくれたのだろう)

ーーもう、一週間になるのか。

神殿の中庭で、あのひとは私に誓いをくれた。
手にした自由を放棄し、その生涯を私に差し出してくれた。
いつかきっと、後悔するであろう約束を。

やがて訪れるその時に、あのひとが絶望に染まらないように。絶望に呑まれるのが私でありますように。そう願い、せめてもの祝福を……女神の加護を贈ろうとしたけれど。

結局、それすらも私にはできなかった。

残忍な己の声に突き動かされるまま唇へと落としたキスに、何故あのひとは応えてくれたのだろう。

(そんなこと、分かり切っている)
(私が女神で、あのひとが私の聖闘士だからだ)

私を掻き抱いたあのひとの腕の力も、暖かな体温も。私にくれた貪るようなキスの感触も、全身を震わせた戦慄も。
すべて、私が望んだことなのだろう。

私が欲したから、彼はそれを与えてくれた。多分ーーそれだけのこと。
女神の僕であるあのひとに拒否権はないのだから。

今も尚記憶に残る己の双子座の熱の名残に身体の芯が蕩けそうになるのを感じながら、沙織は小さな溜息を洩らす。
彼女の脳裏に浮かぶのは、互いの身を離した後の呆然とした彼の表情だった。
驚愕と困惑が入り混じり、何処か途方に暮れたような……信じ難いものでも見るような、彼はそんな顔をしていた。

あれから、サガとはあまり会話をしていない。
朝食は一緒に摂るけれど侍従が控えているし、彼の執務で必要なことがあれば顔を合わすけれど、事務的な話だけが淡々と進められる。
昼食や夕食、その後のプライベートな時間を共有することはこの一週間全くない。

それはそうだと思い、彼女の唇から知らず苦笑が洩れた。
今までそれなりの時間をサガと過ごしてきたのは、自分がそのようにしてきたからなのだと改めて思い知る。
そして、彼はそれに合わせてくれていたとすら言えない。彼にとって女神の意思は絶対なのだ。だから求められれば当然の如く応えるーーそういう、ことだ。

(ーー女神の愛を、拒絶した男が?)

途端、降って湧いた己の声を掻き消そうと、沙織はきつく瞼を閉じて懸命にかぶりを振った。










「終わりましたよ、アテナ」

頭上から降ってきた涼やかなテノールに顔を上げた沙織の視線の先に、陽射しを浴びてきらきらと煌めく長いプラチナブロンドを揺らす美貌の青年が佇んでいた。
美の女神の名を冠する彼に相応しい外見の青年のやわらかで艶やかな微笑に、沙織はささくれ立った己のこころが少しだけ凪いでいくのを感じながらふわりと笑顔を返す。

「ありがとうアフロディーテ……とってもきれい」

彼の手によって植えられた、淡いアイボリーの蕾を付けた幾つもの薔薇の苗木を見詰めながら礼を述べる主に向かい、アフロディーテは誇らしげに笑った。

「活けた薔薇も堂々たるものではありますが
、植わった姿もまた違った風情がありましょう?」
「大地に根を張る植物の姿は、生命力に満ち溢れていてーーとても、美しいと思います」

謳うような沙織の言に、眩しげに双眸を細め少女の姿の女神を眺め遣った。

「……サガと、同じことを仰るのですね」

このところの己のこころを占めていた男の名を突然出された彼女は一瞬言葉に詰まる。そして咄嗟にそれを悟られまいと曖昧な笑顔を作り、そうなの?とだけ返した。

「その薔薇……金華山、ですよね?」
「ええ。日本ではそうも呼ぶそうですねーーあのひとも、その名で呼んでおりました」

今度こそ、沙織は驚きに双子座の名を唇に乗せた。何故聖域で育ったあのひとが、この有名なオールドローズをわざわざ和名で呼ぶのだろうか。

「……サガ、が?どうして……」
「あのひとは、日本に纏わることをよく知っておりますよ」
「サガは、日本に興味があるのですか?」

そんなこと、知らない。私はあのひとのことについて知らないことばかりだーーそれは当たり前といえばその通りで、そして仕方のないことなのだけれど。
知っているのは、あのひとのやわらかな笑顔と低く響く優しい声音。眩しいばかりの黄金の小宇宙と流れ落ちる涙の雫。
それからーー暖かな体温と、蕩けるような熱を……少しだけ。

「ーー貴女のおわす国を、あのひとが好まぬ筈ないでしょう?」

色々と見聞を拡げておりましたよ、と懐かしそうに語る青年に、やっぱり知っていたのね、と沙織はぽつりと告げた。

「それはまあ……同時期に日本から候補生が百人、ですからね」

さすがにあからさまですよねと肩を竦めた魚座の青年に、そうですねと沙織は苦笑して。

「あのひとは……日本からの候補生をそれでも平等に扱ってくれたのですよね。だからこそ星矢たちはーー」
「貴女が帰還されることが、あのひとのたったひとつの願いでしたから」

懐かしそうに、大切な思い出を紐解くように……何処か遠い眼差しのまま紡がれたアフロディーテの言葉は、けれども沙織のこころにきりきりと爪を立てる。

私は、神様のくせに。
たったひとつという、あのひとの願いも知らずに。

「金華山ーー日本でも愛されたこの花は、あのひとの好きな花です」

きりきりと痛むこころを抑え視線を落とした主へと、アフロディーテは艶やかな微笑を浮かべそっと告げた。内緒ですよ、と己の唇に指を当てる彼の仕草は思わず目を奪われるには充分な、その名の通り美と性愛を司る女神を思わせ、この上なく魅力的だ。
けれどもそれ以上に彼の言葉の内容が、アイボリーのオールドローズへと沙織の意識を向かわせる。弾かれたように面を上げると、彼女は黄金に纏わる和名を戴く苗木へと視線を移した。

「……あのひと、が」

ーー聖域を維持するため真実を明かすこともできず、きっと拷問のような日々を生き抜いていたのだろうあのひとが、何も知らずに安穏に私が過ごす遠い国で愛されていたこの薔薇を、好きだと言ってくれたのか。

それきり言葉を失い、煌めく緑柱石の如き瞳を見開き食い入るように薔薇の苗を見詰める沙織の様子を、アフロディーテもまたやわらかな眼差しで見詰めていた。

「……サガのことを、お好きですか?」

やがて紡がれた問い掛けを、沙織は不思議な心地で受け止めーーそれから幾度かの瞬きの後、優美に佇む魚座の青年をゆっくりと見上げる。

「それはーー勿論です。サガは私の、大切な双子座です」
「それは重々承知しております。私はその上で貴女にお訊きしているのです」

サガのことを、お好きですか?
もう一度問われ、沙織はその言葉を一旦胸の底に落とし込みーー漸く、その意味を理解した。
何かを口に出そうとして、けれども彼の問い掛けに相応しい返答が探し出せず、俯きながら紡ぎ出した旋律は沈黙の要請。

「アフロディーテ……滅多なことを、言わないでください」

否定しないのだな、と女神の言葉を反芻したアフロディーテは思う。

「何故です?」
「……私は、人の子ではないのです」
「オリンポスの神々は往々にして人間と恋をなさるものと認識しておりますが」

いともあっさりと沈黙を破ってくれた魚座の青年に、沙織は少しばかりの非難のいろを宿した瞳を向ける。名は体を表す、とはよく言ったものだが彼の名はその外見ばかりを示すものではないらしい。彼女の脳裏をぼんやりと、蠱惑的な美しさを誇る女神の姿が過り、やがて霞の如く消えていった。

「ーー神に恋情を向けられた人間の末路が、しあわせであると私には思えません」
「それは外側からの評価でしょうに」
「それはーーそう、かも知れませんが……」

戯けたように肩を竦めてみせるアフロディーテの言葉に、沙織はまたも返答に詰まる。居た堪れない、といった風情で燦然と輝く陽射しを受けて煌めくエーゲ海の水面のようないろの彼の双眸から視線を逸らし、俯いた後やがてぽつりと告げた。

「私は、地上の人々すべてに愛を向ける立場なのですーーそれを、そのような」

消え入るような沙織の声音に、紡ぎ出された旋律に、そういうことかとアフロディーテは胸の内で頷いてみせる。
この方は自らの存在理由に縛られておられる。それがすべてとも思えないが、躊躇いの理由のひとつではあるのだろう。

「ーー今更?」

たった一言、静かに向けられた問いは沙織の胸を抉るには充分だった。
弾かれたように顔を上げ見詰めたアフロディーテの表情は変わらず穏やかなままで、だが美しく弧を描く口の端が、女神のこころを凍り付かせる。
嘲笑だ、と思った。
今更?そう、今更だ。ずっとサガの傍近く控え、サガを見てきたアフロディーテの立場からすれば当然そのように感じるだろう。

(あのひとを、救いもしなかった女が)

脳裏に響く声は自分のものだろうか、それとも目の前の男のものだろうかーー何処かぼんやりとその声を聴きながら己の魚座を瞳に映す戦女神へと、淡々としながらも追い詰めるかの如く問いは重ねられる。

「今更、貴女がそれを仰るのですか?」
「……今更であっても、です」

痛むこころを抑えながら絞り出した言葉を嘲笑うようにアフロディーテが眉を上げるーー否、実際嘲笑っているのだろうと彼女は思った。
次に告げられるのは侮蔑の言葉だろうか……傷付いた顔を、私は見せないでいられるだろうか。
きゅっと口を引き結び麗人の断罪を待つ戦女神の、耳朶を打つのは意外な内容だった。

「私は貴女の愛が平等ではないということを知っております。平等でないからこそ貴女は我々聖闘士に万人には与えられぬ恩恵を与えてくださる。そして、貴女は殊に星矢たち五人の青銅聖闘士に特別な思いを向けておられる」
「……特別……」
「そうでありましょう?ですがそれに不満を抱いたり増してや咎めようなどとは我々は夢にも思っておりません。彼らは貴女を信じ、共に闘い、聖戦に勝利したーーその功績による特別な寵と恩恵に誰が異を唱えられましょう」

思わず聴き惚れてしまうようなアフロディーテの声音に、けれども沙織は小さく首を傾げた。
特別ーーそうだろうか。そう言われればそうかも知れない。私は彼らを大切な仲間だと思っているし、殊更しあわせでいてほしいと思っている。そのために自分にできることがあるなら何だってするつもりだ。
でもそれは彼らとの間に築いてきた絆故のものであって、贔屓だとか優遇だとかとは違うような気がする。

「……同じことですよ、アテナ」
「同じ?」

鸚鵡返しに問い返す沙織へと、アフロディーテは穏やかに微笑む。

「貴女は、その愛をサガに向けることはしなかった」
「ーーっ!」

余りにもストレートな物言いに表情を強ばらせ息を呑んだ沙織の様子を伺い、すみませんと苦笑したアフロディーテはこう続けた。

「ああ……別に責めているのではありません。それにーー失礼な言い方ではありますが、拒まれた、というのが正しいのでしょう?」
「……」
「サガは貴女に対し己への愛も救済も、断罪すら望んでいなかった。だから彼は貴女の手を振り払った」

そこで一旦言葉を切り、アフロディーテは沙織に視線を合わせその瞳を覗き込んだ。美しくたおやかなその身に眩いばかりの小宇宙を宿しながら、緑柱石の如き女神の双眸は迷いと躊躇いと、そして戸惑いに揺れている。そのさまを、美の女神の名を冠する青年はとても美しいと……愛おしいと思うけれど。

(あのひとは、そうは思わないだろう)

ふ、と嘆息した青年は再び言を紡ぎ出す。己が認めた、賞賛に値するものを敢えて変えてしまうというのは奇妙な心地だと感じながら。

「それを望まぬ者に与えようとしたところで何になりましょう。今更そのようなことで思い悩むなど無意味だとは思いませんか?」

あくまでも穏やかに紡がれるアフロディーテの問い掛けが沙織の肩をぴくりと震わせた。彼の言葉は何処までも容赦なくて、そして正論だ。諦めなければいつか、などという綺麗な言い方で片付けてしまえるほど単純なものでも小さいことでもない。あのひとが自分を放逐した後聖域で過ごした十三年間はそんなに軽いものではないーーきっと彼はそれが言いたいのだ。そんな風に沙織は彼の言葉を受け止めた。

「そんなことに拘って互いに疲弊するくらいなら、貴女にはあのひとの望みをーー求めるものを与えて差し上げていただきたい」
「ーーあのひとの、望み」

アフロディーテの言葉をぽつりと反芻し、沙織はふと思いを巡らせた。サガの望み、願い。それは地上世界の安寧と人々の笑顔。それから。

あのひとは、私のしあわせを願ってくれた。

「……あのひとを、苦しめるだけです」
「それを決めるのは貴女ではなくあのひとだ」
「私は女神です。あのひとの願いを叶えるには……私は女神でなくてはならないのです」

最後は消え入るような幽かな旋律だった。彼女の声にアフロディーテが目を瞠る。
ああ、そうなのか。今の貴女の在り様を、その憂いを形作るのは……結局。

「おかしなことを仰る。貴女はその魂がこの世に存在して以来、常にアテナであらせられた筈。それが天界であれ地上であれ、貴女が女神であることに変わりはないーーそうではありませんか?」

先程植えたレディ・ヒリンドン……金華山と呼ばれるオールドローズの、淡いアイボリーの蕾をちらりと一瞥し、アフロディーテは問を重ねた。願わくばこの薔薇を辛い思いで視界に映してほしくはない。女神にも……あのひとにも。
かつて日本に渡り人々を魅了したであろう淡い黄金の薔薇。恐らくあのひとにとって金華山はアテナを介した日本との縁ではなくアテナそのものだ。そして、それを知ったアテナもまたこの苗木を目にする度ーー否、それが時折であれあのひとを思い出すだろう。

私の育てる薔薇に、哀しみを映し出してなどほしくはないのだ。そんなものは、この花に相応しくはない。

「……それは、どういう意味です」
「そのままの意味です。貴女がどのようなお考えでどのように振舞おうと、我々にとってそれはアテナのお姿に他ならない」
「また、滅多なことを……」
「貴女という存在に課せられた地上世界の守護を放棄なさるとでも仰らない限り、滅多なことなどございますまい」

艶やかに微笑む魚座の青年の考え方を沙織は羨ましいと少し思う。こんな風に冷静に物事を見詰めカテゴライズし取捨選択できたらと。

(ーー得意だった筈でしょうに)

戦いにおいて重要な考え方である冷静な状況判断と割り切り。感傷に呑まれることのない鉄の意志。それはアテナとして当然持ち合わせているものの筈だというのに。

「それは……貴方の捉え方でしょう?あのひとは……」
「それこそサガが、アテナのお振る舞いに異を唱えるなどとは思えませんが」
「ーーそれは……」

一瞬言葉を詰まらせた沙織は、躊躇いがちに緑柱石の双眸を周囲へと泳がせた。視線に合わせ流れる景色の片隅に、アフロディーテの植えた薔薇の苗木が映し出される。

目を奪われ、沙織は瞬きもせずにその場に立ち尽くした。
そのアイボリーの蕾は、午後の陽射しを浴び淡いシャンパンゴールドの煌めきを放っていた。

(あのひとの、小宇宙のいろだ)

ーーああ、目眩がする。

「……あのひとは私が望めば……求めれば応えてくれます。でもそれは、私がアテナだからです」

金華山の蕾を見詰めながら絞り出すように告げられた女神の言を、だがアフロディーテは首を傾げ肩を竦めると可笑しそうにくつりと喉を鳴らす。

「ーーでは、貴女がアテナでなかったら?」
「きっとこんな小娘、見向きもされません」
「はは、仰る通りだ」

一切の気休めも躊躇いもなく、明快に肯定する魚座の青年の美貌を、さすがに呆気に取られた沙織はまじまじと見遣る。
歯に衣着せぬ、といえば聞こえがいいだろうか。だが、神だの人間だの以前に到底主に向ける言葉ではないだろうそれを、驚きはしても不快には思わなかった。
己を見詰める女神の視線を気に留める様子もなく、アフロディーテは肩を竦めやれやれ、とでも言わんばかりに苦笑を洩らす。

「よかったではないですか。だって貴女はアテナなのですから。アテナというのは役職や立場ではなく貴女という存在の呼称であり、貴女以外の存在がアテナであることはない……それは貴女が一番ご存知でしょう?」
「……」
「そしてあのひとは、アテナでない娘になど見向きもしない。貴女とあのひととのゲームは初めから貴女の勝ちと決まっているーーご自分でもお分かりでいらっしゃるではないですか」

やはり名は体を表すのか、かの女神の本質を表すかの如く彼が例えるゲームという単語、それ以上に彼が何を言いたいのかということを否が応にも理解した沙織はさすがに険しい表情で言葉の主を睨み付けた。

「アフロディーテ!よりによってゲームだなどと……それに、滅多なことは言わないでくださいと先程も……」
「ああ、それは失礼ーーまあ私としてはどちらでもいいのですが」

ーー否定はしないが肯定もしない、か。
だがそれでは困るのだ。女神の迷いや躊躇いは、あのひとを壊してしまう。

ならば、と軽く息をついたアフロディーテは、自らが持ち込んだアイボリーの花の苗をちらと一瞥し、それから改めて類稀な美少女のかたちをした己が主神を真っ直ぐに見詰めた。

「アテナ、サガの友人としてひとつだけお願いしたいことがございます」
「……はい」

居住いを正してみせたアフロディーテの、やわらかでいながら真摯な声音に沙織もまた表情を改め、煌めく緑柱石の瞳で彼を見詰め返す。

ざわり、と一陣の風が十二宮を吹き抜け神殿横の庭園の新緑を揺らす。沙織の長い絹糸の如き髪と純白のドレスの裾も、緩やかに波打つアフロディーテのプラチナブロンドも同じリズムで風に撫ぜられ、ふわりと宙を舞いーーそれは玉響の、夢のような光景だった。

(美しいな)

アフロディーテは単純にそう思う。恐らく己と目の前の少女は対極のかたちで同じ存在にこころを向けている。不思議な位あのひとへの思いのかたちは対照的なのに、思いの強さはそれ程変わらないだろう。見事なまでのシンメトリーだ。そして今、すべてが異なる自分と少女が同じリズムでこの庭園の風景に溶け込んでいる。

(あのひとに、見せてあげたい位見事だな)

僅かに目を細め、アフロディーテは穏やかな声音をそのくちびるに乗せた。

「貴女のあのひとへの思いが女神から人間に向けるものであれ、女が男に向けるものであれ、どうか迷いのなきよう」
「……迷い……」
「あのひとは、常に貴女にとっての最善を選択する人です。恐らく貴女の迷いは貴女にとってのマイナスと考えるでしょう。貴女が中途半端に彼に向き合い、迷い、躊躇われることであのひとは自らを排除する方向へと進んでしまう」

お分かりですね?と問われ、けれども沙織は頷くこともできぬまま双眸を見開いた。あくまでもやわらかな魚座の青年の艶のあるテノールが普段の心地好さではなく、錆び付いた冷たい金属の如くざらざらと彼女のこころに未だ残る爪痕を撫ぜる。

沙織の全身に蘇るのは、かつて腕に抱いた、救えなかった男の身体に残された温度。掌から砂のようにさらさらと零れ落ちる、己の双子座のいのちの欠片。
あのときの喪失感と無力感を、彼女はまざまざと思い出していた。

(ーーやめて)
(もうやめて。私を……たすけて)

脳裏に響く己の声に弾かれたように、全身を支配するあのときの感覚を無理矢理追い払うと、彼女は真昼の太陽の下で煌めく透明な水のいろを宿したアフロディーテの瞳を見上げた。

サガを友人と言ったこのひとは、とても穏やかでーーきれいな眼差しで。奇跡のような彼の美貌は、やわらかな微笑で彩られている。

「……アフロディーテ」

それは何処までも優美で、けれども少し寂しげで……胸が、締め付けられる。

「貴方はあのひとを、愛しているのですね」
「はい。一番大事なひとです」

沙織の言葉に、アフロディーテはふわりとした……だが悪戯めいた表情でちいさく笑い。

「でも、この思いに欲はないのですよ……不思議なものですね」
「不思議?」
「ええ。どちらかといえばこれは貴女の領分でしょう」

アフロディーテの名に、相応しくはありませんね。


そう言って、美と愛欲の女神の名を持つ青年はくすくすと笑ってみせた。















アフサガめっちゃすきです。
別にBLな感じじゃなくてね……



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

月桜キキ

Author:月桜キキ
月桜キキと申します。
数年振りに二次創作の世界に出戻って参りました。普段はしれっと会社員やってます。

暁のヨナ、聖闘士星矢(無印)を中心に、他ジャンルも時々。
NLBL混在しますのでご注意!

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