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PRAY

ヨナに合うといったらこのナンバー。
心洗われます。



18巻読んでの感想を少しだけ。

重かったです、とても。
ハクヨナとかスウォンとの確執とか、全部吹っ飛んじゃう勢いでした。

人魚の森を思い出した。
あとはあれです。月の千年女王ディアナ陛下。
千年の時を生かされ、終焉の地を求めて地球に降り立ったディアナ陛下。
嘗て愛した人が眠る地球で最期の時を過ごせたことは、彼女にとってこの上ない幸せだったに違いない。
(ロランは巻き添え感半端なかったけど)

19歳の肉体で、人工冬眠を繰り返しながら千年生かされたディアナ様は穏やかな最期を迎えたけれど。
黄龍は、彼女のように幸せな結末を迎えることができるのでしょうか。
そうあって欲しいです。この流れは、きっと彼は最期を迎えられる。
ヨナの最終巻あたりでターンAの、あの美しいエピローグのような描写があるといいな。

重過ぎて、手出し出来ない感はあるけど何か書きたいとも思う。
(他の三龍だけでも重くて書けないというに何という……)

姫が生まれた時、彼が三龍に会いに行った場面では不覚にも涙出ました。




そういや緋龍王の時代って、殷王朝あたりのイメージですかね。それから二千年であの感じ。
うん、そんなもんかな。

日本に当てはめちゃうと、BCとADの境目あたりのイメージ。それから二千年て、現代じゃんか 笑

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テーマ : 漫画の感想
ジャンル : アニメ・コミック

ハクヨナ未来話『Baby, you're my home』姫と雷獣と雷獣の子の小話です。

蒼く 蒼く 彼方まで霞む昼下がりの初夏の空をぼんやりと眺めた。

遥か遠くにそびえ立つ、深緑に煙る山脈の更に向こう、真白に淡墨を一滴だけ滲ませたような重苦しい低い雲が灼熱の季節の到来を予感させる。


むせ返るような若草の匂い。
萌葱色の絨毯のようにやわらかな、一面に拡がる草原に腰を降ろした私は視界に映し出された、仔犬のように転げ回る幼子の姿に目を細めた。
緩やかに吹き抜ける風にさらりと靡く真っ直ぐな黒髪。綺麗に整った顔立ちは、けれど大人びている訳ではなく幼子らしい屈託のない無邪気な笑顔で。

愛おしさと懐かしさが胸に込み上げ、何だか無性に泣きたくなった。


不意にしゃがみ込んだと思ったら、彼は小さな手に朽ちた枝の切れ端を握り、円い瞳を輝かせた。
やたら棒を手にするのは子供の特性なのだろうか。

昔、あの人も同じことを、同じ瞳の輝きで。

朧気な記憶の中の幼馴染の少年の姿が目の前の幼子に重なって、言いようのない幸福感が私を包み込んだ。
髪の色、顔立ち、仕草。たったひとつを除いて、何もかもがあの頃のあの人とそっくりな子供が眩しい笑顔を私に向ける。

ああ、私はどれほど幸運なのだろうか。
私を映すその瞳の色が、煙る紺青でないことだけがとても残念ではあるけれど。でも、それでも。

「ヨナ!こっち、みてみてー」

記憶の奥底に今も残る、あの頃のあの人と同じ声で名を呼ばれた。
幼かったあの頃、この涼やかな懐かしい声に名を呼ばれたことなど、あんなにも一緒にいたのに多分一度だってなかった。

枯れ枝を振り回し嬉しそうに自慢気に、私へと笑い掛ける幼子に手を振ると、そのまま額の上へと掌を翳す。燦然と輝く陽射しがとても眩しい。


暫く枯れ枝を片手に若草と戯れる幼子の姿を眺めていたら、不意に頭上に影が落ちてきて、それから軽い衣擦れの音色と共に視界が半分遮られた。

「この時期の陽の光は身体に毒ですよ、姫さん」

私を労わる優し気な響きを宿す低い声に視線を上げれば、さらりとして張りのある、目の荒い上質な織物の、何時か何処かで見たような色彩が視界に拡がった。
艶やかな朱色の上に、煌びやかな金糸銀糸をはじめ様々な素材の色糸が幾重にも縁取られた、風通しの良い極彩色の薄布は多分異国のものだろう。

「おかえりなさい、ハクーーこれは?」
「土産です。あんた好きでしょう、こういうの」
「うん、ありがとう……でもこれ凄く高価そうだわ。そんなに仕事、うまくいったの?」
「そりゃあもう。伊達に部族長やってた訳じゃねえですよ、取引先なんざ幾らでもーーてかあんま雷獣を見縊んねえで頂きたい」

低く艶やかな声音に宿る、まるで少年のもののような得意気な色。私の心を震わせるのはやはりこの人の声なのだ。
もしもこの声が今、この陽射しの下で私の名を呼ぶことがあればーーこの子の声にこの人の懐かしい記憶を重ねることもなくなるのに。

「おとーさん!おかえりー」
「はいよ、ただいま」

涙が滲むような、暖かく優しい遣り取りが聴こえ、私は被せられた薄布をずらして小さな身体で駆け寄ってくる幼子を見た。

「ヨナ!おとーさん帰ってきたよー!」
「そうね、よかったわね」
「ヨナも、よかったねー」
「ええ、嬉しいわ」

立ち上がり身を屈め、纏わり付く幼子の餅のような頬を撫でていると、呆れたような溜息が徐に背後で洩れる。
この人が何を言いたいかなんて分かり切っている私は、振り返ることはせずに澄み渡る北西の空を見上げた。

懐かしい風牙の都の、彼等は元気でいるのだろうか。

「おとーさん、じっちゃんは?」
「今度、お前に会いに来るってよ」
「ほんと?」

懐かしい記憶の中のハクによく似たその子が私の心を代弁してくれた。何故だかとても擽ったくて、思わず笑ってしまう。

「……姫さん、何度も何度も繰り返しになりますがね。いい加減止めませんか」
「いいじゃない。この子の声、昔のハクにそっくりなんだもの。まるでハクに名を呼ばれてるみたいだわ」
「どんだけですか、あんたーーてか、全く呼ばないことはないでしょうが……」
「人前で呼ばれたことなんて、一度もないわ」

此処で初めて、私は背後を振り返りハクの姿を瞳に映す。
呆れ果てげんなりした、けれども何処か照れ臭そうな、何時もながら複雑な表情で私を見詰める愛しい人に、挑むように問い掛けた。

「大体ね、子供の前で姫さん姫さんって、変だと思わない?」
「思いません。別に問題ないでしょう?それより子供に名を呼び捨てさせる母親の方が余程どうかしてますよ。俺のことは父と呼ばせるくせに」
「ハクのことはそれでいいのよ」
「……とにかく教育上宜しくないと認識してます。止めてください」

幾度となく繰り返されてきた平行線の教育議論は、けれども収束を迎える前にあっさりと打ち切られた。

「おとーさん、これ見て!おとーさんのぶきとおんなじー」

紫紺の瞳を輝かせて手に握る枯れ枝を見せびらかす幼子に向かいハクは穏やかに笑い掛けた。
この人が不意に覗かせる父親の顔は、もう二度と会うことの叶わない、優しかった父上を思い出させる。

「へえ、小っこくても男だなー。お前それで何すんの」
「ヨナをまもる!」
「……。お母さん、な」
「えー」
「えーじゃねえよコラ」

いまいち効果のなさそうな教育的指導ーーというよりも微笑ましい父子の戯れ合いを眺めていると、やがて私を守るのだと武器を掲げた小さな護衛は、驚いたことにほんとうに、私に味方するのだ。

「じゃあねえ、ひめさん」
「……あ?」
「ひめさんがいい!おとーさんといっしょがいい!」
「…………」

二の句が継げず、無言で顔を引き攣らせるこの人に私は此処ぞとばかりに畳み掛けた。この人の分身である小さな護衛は、私の分身でもあるらしい。

「ねえハク、やっぱり子供の前で姫さんって変だと思わない?教育上宜しくないと認識してるんですけどー」

勝ち誇った笑顔で顔を覗き込んだ私へと、ハクはそれはもう苦々しい表情で。

「…………。ハイ、そうっすね……善処します」

がっくりと肩を落とすこの人から望む言葉を手に入れた私は、撤回されてなるものかと早々に身を翻してその場を離れた。



蒼白の空を見上げた私は眩いばかりの陽射しに双眸を細め、掌を翳す代わりに朱に染まった大判の薄布を両手で空に翳してみる。

初夏の風に翻る、緩やかに光を通す異国の極彩色は、朧気な記憶の中で揺蕩う夜伽噺の舞台を彷彿させた。





ーーああ、まるで夢のようだと思った。










『Baby, you're my home』
明かりを見失わないで 僕らは










ハクヨナで仲良くなった友人好みのものをと書いた(押し付けた、とも)ssです。
子供ネタとかどうなのと思ってましたが、意外と大丈夫そうだったので上げてみました。

こういったタイプの話は初挑戦だったのですが、いや非常に楽しかった。ノリノリで一気に書き上げました。
小道具だけ揃え、こちらと対になるように先日アップしたのが『更紗』です。
始点と終点、的な。

しかし何処までも姫呼びと敬語。
姫呼びはともかくとして、敬語は一生そのままでいいかなって……!




テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

白い火花

落ちた時に聴く曲第一位です。
落ちた時にしか聴かない、とも。

はい。仕事で凡ミスしました。
特に顧客に関わらないちょっとした報告ミスでしたが、がっつり怒られたw
(いつもながらあの上司は怒るポイントズレてるんだよな〜別にサクッと修正すりゃいいじゃんそんなの僅か1分の作業じゃんか)
うんざりでしたがミスはミス。反省。

その日は帰宅してからずっと現実逃避。
ハクヨナだけじゃ飽き足らず、とうとうZZまで再燃する始末。
とはいえ、ss書くには到らずなのでツイの140でお茶を濁しております……

140って難しいわあと思っておりましたが、他ジャンルだと意外と書ける。
要するに、ヨナの場合妄想が140じゃ収まらないという事なのでしょうか。
暴走してるからかなあ(ー∀ー;)


最近イニDばっか観てます。タダで観れるからね 笑
相変わらずアニヨナ未視聴のくせにね……
Gレコも観てない。何やってんの。

テーマ : 今日のつぶやき。
ジャンル : 日記

ハクヨナ前提未来話『路傍の花』ーEpisode.2-0.x ヨナ、ハク。補足的番外。雷獣と芍薬の話。

月白に、薄紅を一滴。

桜色よりも淡い、限りなく白に近い色彩の花弁が幾重にも重なる大輪の華。


競うように咲き誇る、鞠にも似た円い花が空へと伸びる深緑の先端を飾り、初夏の庭園を涼やかに彩っていた。

東屋の長椅子に腰を降ろした私は、真昼の陽射しを浴びて一際白く輝く、艶やかな白絹で編まれた無数の小さな鞠が深緑の絨毯の上に敷き詰められたような光景を眺め、感嘆の溜息をほう、と洩らす。

「何て綺麗なのかしら……」
「確かに、こうして眺めると見事なもんですね。まあ、王宮の庭園一面に芍薬を植えるなんてお人はあんたくらいだと思いますがね」

東屋の円柱に凭れ掛かり、私が見ているものと同じ光景を視界に映した幼馴染であり護衛であり片腕でもある男は、私の言葉に同意しながらも何処か揶揄するように笑う。
酔狂だとでも言わんばかりの彼の科白に、私は聞き捨てならないと眉を寄せた。

「どうしてよ。庭園の植物を選ぶ時、芍薬はどうかって進言して種まで用意したのはハクじゃないの」
「あんた好みだろうと思ったからですよ。あと四年もすれば薬用として根も使えますし」

去年、種を植える時に言っていたのと同じ事を言いながら、彼は可笑しそうに肩を竦めた。

芍薬という植物がどういったものなのか知らなかった去年の私は、その名の通り薬草で、初夏には花も楽しめるというハクの言葉を信じ、かなりの数の種を植えた。
そして今、実際目にした芍薬の花は予想以上に見事なもので、牡丹にも似た艶やかなその姿に私は感動すら覚えているのだけれど。

「今迄植えてなかったのが逆に不思議なくらいよ。こんなに綺麗なのに。それとも、王宮には薬草を植えないものなの?」
「いや、薬草つーか、大分するならこの花は雑草ですからね」
「雑草?」
「そうですよ」

予想外の返答に目を瞠る私へと、ハクはまるで悪戯に成功した子供のような笑顔を向ける。

「それを知っていて、敢えて勧めたのね」
「さあ、どうでしょう」

どうでしょう、じゃない。回答は明確に是なのだ。
幼い頃から何度も見てきた、して遣ったりといった彼の笑顔がそう告げている。

半年を越える月日を掛けた、下らなくはあるけれどなかなか見事な計画だ。馬鹿馬鹿しい悪戯に手間暇を惜しまない、幼馴染の相変わらずな発想に苦笑しつつ私は咲き誇る芍薬を再び眺め遣った。

「ーー確かに、好んで雑草を王宮の庭園に植えるなんて私ぐらいしか居ないわね」
「いいじゃないっすか、野生の花を好む王ってのも。庶民的な嗜好は好印象に繋がりますよ」
「お前……本当に詭弁もいいところね」

さらりと自分を正当化するハクの言葉に私は呆れたように肩を竦めたけれど。
彼のことだ、もしかしたら真実そういった意図もあるのかも知れないと思い直し。

「本当に、有能な片腕だこと」
「そりゃどうも」

どちらからともなく笑い合い、それから私は長椅子から立ち上がるとゆっくりと歩を進め、柱に凭れ掛かるハクの正面に立ち指先で彼の頬に触れた。

「ーー姫さん?」

驚いた様子で私を見詰める紺青の双眸を背伸びして覗き込み、その頬へと指先の後を追うように唇を落とす。

「何すか、悪戯の成功報酬?」
「ふうん……やっぱり悪戯なのね」
「ご不満で?」
「ーーううん」

囁くように告げ、それから啄むようなくちづけを交わす。

不満なんてない。昔のまま変わらないのだと思わせてくれる、お前の悪戯は酷く私を安心させる。

「ねえ、ハク。私は芍薬の花に似合っているかしら?」
「姫さんが芍薬に?姫さんに芍薬が、じゃないんすか?」
「うん。私が、よ」

戯れるように幾度も唇を重ねながら、やはり戯れに問うてみる。
その問い掛けの意図が掴めぬ様子で首を傾げるハクに私は真意を告げることはせず、もう一度。

「この花に、私は似合う?」

燦然と輝く初夏の陽射しを浴びて力強く艶やかに咲き誇る大輪の華。
反面、何処にでも根を張り何度も冬を越すという強靭な生命力を持ち。
単に見る者を楽しませるだけでなく、薬草としても重用されるという。

それでいながら飽く迄も野生の雑草だというこの植物の在り様が、まるでお前のようだと思ったから。

「そうですねえ……まあ、似合うっつーより薬草としての汎用性と生命力は姫さんにそっくりだとは思いますが」
「ーー無礼者」

少し困ったような表情で、それでも戯けてそう告げる彼に、黙りなさいと私は一言置いて。
言葉通りに黙らせるべく、彼の首に両腕を絡めた私は深く深くくちづけて。

一時限りと知ってはいるけれど、その減らず口を塞いでやった。



私が封じた言葉の代わりだと言わんばかりにゆるりと口内を侵す彼のくちづけと、抱え込むように私の背中に廻された大きな掌が、長い指が密やかに躰の線を辿りこの身の内と外に、着実に小さな焔を落とし込み浸透させていく。

時折、様子を確かめるように身を離し私の顔を覗き込む彼の艶やかな表情に視線が奪われる。


心身を癒す薬効と、何処ででも咲き誇れる強かさとそれから、他者を惹き付ける華やかさ。



やっぱりお前のようだわと思いながら、私は痺れるような甘い毒に身を浸した。











『路傍の花』ーEpisode.2-0.x “ハピネス”
大切なことを、易しい言葉で。










女王陛下のサロンに芍薬を植えるという野望をとりあえず達成しました。

芍薬という植物、知れば知る程雷獣を彷彿させるのです、が。
花言葉は「恥じらい、はにかみ、謙遜」ですってよ。
ちょっと誰それ。てか余りにも雷獣と掛け離れてて吹きました。
芍薬は『花の宰相』という、これまた妄想の膨らむ異名も持っているのですが、宰相が恥じらってたら仕事になんないよね……

短い番外ではありますが、書いててとても楽しかったです。
とにかくこれで、心置きなく腐葉土になれます私……!



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

ハクヨナ前提ss『茜雲』 風牙ポニテ女子とテウ将軍。弟妹が、兄を想う。

稽古を終えて屋敷の外回廊に出ると、床に胡坐をかき外の風景を眺める兄弟子の姿が視界に映った。

兄弟子といっても、彼は今や風の部族の若長であり高華国の五将軍の一人だ。
勿論それは彼にとり不本意で、まさに降って湧いた災難といっても過言ではない。

近付く私の気配に気付かぬ筈はないでしょうに、微動だにせず彼は真っ直ぐに何処かを見据えている。

「はぁいお疲れ、テウ将軍」
「……んだよ、てか将軍ってのはよせ。何かこう、気持ち悪い」

努めて明るく声を掛ければ、彼は予想通りとても厭そうな顔をして私を振り返った。

「じゃあ、若長?」
「……」

眉を寄せて、まるで不審者を見るような目で私を凝視する彼の仕草が何処となく私と彼の共通の兄弟子に重なって、知らずほんの少しの笑みが零れる。

私は突き刺さる視線を無視して彼の隣に腰を降ろし、同じように胡座をかいた。
見下ろす形で視界に映るのは、私達が護るべき風牙の都の賑わう街並。
何時もと変わらないように見える街の姿を眺めながら、私は昼間、稽古前に屋敷近くの広場で遭遇した若い娘達の痛ましい騒ぎの原因を口にした。

「ハク様が宮廷の追っ手に殺されたそうね。ハク様に懸想する街の娘達が泣き喚いてたわよ。全く、宥めるのに骨が折れたわ」
「……らしいな」
「何よあんた、随分冷静じゃない。敬愛する『お兄様』が殺されたってのに」
「あの人が追っ手ごときに殺される訳ねえだろ。師匠だってそう思ってるさ」

どうせ胡散臭い調略だの陰謀か、情報撹乱じゃねえのと詰まらなそうに吐き捨て。
それから彼は普段通りの表情を私に向ける。

「お前こそ、愛する『お兄様』の訃報の最中に平然と稽古かよ」
「ふん、あの人がそう簡単にくたばる訳ないでしょうよ」

馬鹿にしたように鼻で笑ってみせたら、彼はへらりと戯けて笑う。何時も通りの笑顔だ。

そう、あの人が殺されたなんてある筈がない。
あの、雷獣と呼ばれた天才が。私達の誇りが、斃れるなどと。

彼が同じ思いでいることを確認し、それから私は夕暮れの空を見上げた。
切なくなるほどに見事な茜雲は、あの人と共に去っていった、儚い天女のような姿の娘の髪を思い出させる。

「ーー大体ね、あの『雷獣』が唯一と定めた女を遺して早々にくたばる筈がないでしょう」

だから、あの人は大丈夫よ。
そう言い切って視線を戻し隣の兄弟子に笑い掛けると、途端に彼は困惑した、気不味そうな表情で私を見詰めてくる。

え、何なのコイツ。
もしかしたらハク様があの娘を好きなんだとかーー単なる恋情よりも寧ろ重い感じがしたけどーー気付いてない訳?

「あんたさ、あの人見てて気付かなかったの?」
「ーーや、何となくは……でも、その、お前はーー平気なのかよ」
「私?平気って何がよ」
「だから……お前、ハク様のこと」

ずけずけと物を言う彼にしては珍しい、とても言い辛そうな、視線を彷徨わせながらの言葉に私は思わず目を瞬かせた。

ーーああ、そういうこと。
彼を困惑させる原因にーーそれは彼の勝手な思い込みではあったけどーー思い当たった私は思わず吹き出した。

「そりゃあ好きよ。当たり前じゃない。あの人は私の誇りで、目標で、憧れだわ。だけどそれ以前にあの人は私の『お兄様』なのよ。妹としては兄の幸せを願わないとね」

忌憚のない本心を告げるけれども、彼はどうにも納得出来ない様子で。

ああもう面倒臭い。私に気を回す暇があるんなら、あの人に黄色い声を上げていた娘達に同じ科白でも言ってやればあんたの株も上がるんじゃないの?
それどころかコロッと落ちる女なんてきっと山ほど居るでしょうに。

何て言うか……実に青臭い。

「あんたさあ、女が男に好きと言ったら総てが総て惚れてるとか思ってたりすんの?馬鹿馬鹿しい」
「なっ……!うっせえな大体お前、何時もハク様ハク様って」
「あんただって何時もハク様ハク様言ってたじゃん。じゃあ何さ、あんた実はあの人に対して『素敵!抱いて!』とか考えてたりしたの?」
「……気色悪い想像させんじゃねえよ」

思い切り馬鹿にしつつあの人に聞かれたら只では済まなさそうなことを告げたところで、漸く彼はげんなりした顔を見せた。
ああもう、げんなりするのはこっちの方だわこの単純馬鹿。

「ま、何時か帰って来るでしょうよ」

『気色悪い想像』を本格化させてやるのも一興だけど、後が面倒そうなのでとりあえず話を戻してやる。
それから私は再び夕暮れの空を眺め遣った。

すると彼もまた、そうだなと一言置いて私の視線を追うように茜色に染まる空を見上げた。


やがて日が沈めば、あの娘の髪のような茜色は消え去ってしまうけれど。
次の朝には東雲となり、きっと鮮やかに空を彩るのだ。


だから、きっと大丈夫。



互いに頷いた私達は、黄昏に逐われ消え行く茜色を、回廊が夜の帳に覆われるまでずっと眺めていた。










『茜雲』
明日、また陽が昇る。










色々妄想が膨らむ風牙ポニテ女子。
当方は以前主張した、雷獣の妹弟子説を引き続き推しております。

しれっとテウ将軍の嫁になってたらそれはそれで面白いかもと、変な妄想したりとか。

作中、一言も発してない彼女。捏造どころじゃない事になってるのはご愛嬌。
そしてテウ将軍がどうも掴めないのであります。




テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

姫時代ハクヨナsss 元拍手御礼。

『inorganics』



「ねえハク!見て」

上機嫌な声音と満面の笑顔と共に、ずいと突き出された左腕。
華奢な手首を飾るのは、多面体の紫水晶を連ねた見慣れぬ腕輪。

「はあ、紫水晶っすね」
「何よ、他に無いの?綺麗とか似合うとか」
「ーー別に」
「……もういい」

頬を膨らませぷいと横を向く彼女に聴こえぬよう俺は詰まんねえ、と呟いた。

透明なだけの詰まんねえ鉱石だ。外の光を受けて無機的に輝くだけの。

彼女の瞳と同じ色の筈なのに。
その輝きはまるで、違っていて。

「ホント、詰まんねえな」

俺はもう一度、独りごちた。





✴︎





『更紗』



降ろした髪が初夏の風に煽られるに任せ、晴れ渡る空を見上げた。

此処は城の外回廊で一番綺麗な景色が見える、私のお気に入りの場所だ。
ぼんやりと澄んだ青空を眺めていたら、突然視界が鮮やかな朱色に遮られた。

「ちょっと……!ハク!」

私にこんな悪戯を仕掛ける不届き者は宮殿内でたった一人しか居ない。
自信を持って幼馴染の名を呼びながらも目を凝らせば、視界を遮るのは織り目の荒い布地だと分かる。
頭からすっぽりと被せられた布地を掴むと、ざらりとした慣れない感触。
こんな生地、初めてだ。

「日焼けしますよ、姫さん。いいんですか?近々スウォン様がお越しになるってのに」
「……ハク?」
「焼け焦げた姿をスウォン様に晒してもいいってんなら、止めませんがね」

半分からかうような声音は、それでも何だか優し気で。
心配、してくれているのだと素直に思えた。

「あ、りがと」
「……あんたホント、スウォン様の事になると単純っすね」
「一言多い!」

視界を確保するために少しだけ布地をずらし、私は何時もの応酬に興じながら視線を落とした。
腰まで届く大判の布地の端にはとりどりの鮮かな色糸が幾重にも織り込まれ。
小さな色石と共に編まれた金糸の房飾りが布地の周囲をぐるりと取り囲んでいる。

「綺麗……これ、どうしたの?」
「風の部族の交易品です。良い品を仕入れたって報告があったんで、取り寄せました」
「ーー私に?」
「俺が持ってても仕方無いでしょうが」

これを身に纏ったハクの姿を想像したら可笑しくて、思わず吹き出しそうになったけれども。

「ありがと、ハク」

笑いを誤魔化すように御礼を言って、私は朱色の布地を被り直す。

しゃらり、と耳触りの良い軽い音色が奏でられ。
新緑のように甘く爽やかだけれど、微かに癖のある不思議な芳香が私を包み込んだ。



異国の匂いだと、思った。










✴︎✴︎✴︎



二週間ばかり拍手御礼に設置してたsss。
ちょっと思うところがあり、拍手をデフォルトに戻したのでこちらに再録。





テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

何とか浮上〜、と御連絡。

先日、Gの神様が降臨されたのでちょっと妄想の方向性が更にヤバい感じになるかなーと思っておりました。が!

何か突然甘い感じのハクヨナ書く気になって書いてみたら何とか書けました。やった!
まあ私の書くスイーツなんて大したことないのだけど、所謂「当社比」的な。
中身ないけどキニシナイ!しかも超短い!
とにかく御大の黒い思想に囚われなかった事が重要なのだ。
ここ数年は白だったり灰色だったりの方が好みだったりもするので、それもあるのかな。とにかくまだハクヨナ書けそうです。よかった……


今週はJリーグがお休みなのでssと落書き出来るかな〜と思ってたら突然休日出勤になったでござる★
しかも土曜日じゃなく日曜日とか、どんな拷問だよ……



パスワードのご請求に関しまして。
現時点までにお問い合わせ頂きました分は全てメールにてご返信させて頂きました。
本当に、有難うございました!
もし当方からのメールが届いていない場合は、お手数ですが再度御連絡頂けますようお願い申し上げます。









テーマ : 今日のつぶやき。
ジャンル : 日記

Gの神様が降ってきた。

6月8日は、ハクヨナ真ん中バースデイだったんですって。
へえ今時は色々イベントあるんだなあ、まるで子ども写真館の戦略みたいだよと感心しつつ何もしない私。ハクヨナ愛はありますが、時間とネタが捻出できませぬ。

そんな低空飛行中、Gの神様が舞い降りてくださいまして。
とうとうガンダム脳化が始まりそうな予感です。ヤバイマジヤバイ。このままでは雷獣氏が更におかしなことになってしまう……!

ああそうだ、ガンダムといえば。
ヨナの基本キャラクター配置がWに似ているとずっと思っておりまして。
・姫→女王
・雷獣→01+お兄様
・陛下→閣下
・四龍→02〜05
個人的に、何かこんな感じでしっくり来ます。
女王と閣下の思想的なせめぎ合いが一番の見所だった私としては、姫と陛下にも国の在り方治め方戦の是非等、政治思想のぶつかり合いを展開して欲しいものです。

とはいえ、陛下には閣下というよりむしろハプティマス様のようなお人であって欲しいと願うこの頃であります。

ああもうどうするよこのガノタ。


あ、そういやGレコまだ観てない。Zレベルと噂の後半。どうしよう刻の涙なんて哀しい。



ところで。
スマホ用のタッチペンを購入しました。
お絵描きアプリをスマホ投入しました。

凄いね、今時はスマホで絵描けるんですね。
色々時間掛かるけどw

とにかく練習あるのみです。
頑張ろう。



テーマ : 今日のつぶやき。
ジャンル : 日記

拍手御礼とコメントへの返信です。

拍手、いつも有難うございます。
ほんとうに励みになります。
御礼に何か、というのもなく申し訳ないのですが、とても嬉しく思っております。感謝です。

以外、拍手コメント返信です。



06/07 05:53 にコメント下さった方へ。

一気読み、有難うございます!勿体無いお言葉に恐縮しております。

漫画にはまったの久しぶりですか!私もそうなんです。他にも同様の方が沢山いらっしゃるみたいですよ。この漫画、不思議な魔力がありますよね。王道だったりとかちょっと懐かし目な絵柄が『久々』を引き寄せるのでしょうかね?

更新頻度は遅いかと思いますが、これからも書いていきたいと思っておりますので是非また遊びにいらしてくださいませ。
コメント、有難うございました!



06/07 21:59 にコメント下さった方へ。

いつも有難うございます〜
雷獣らしいですか!雷獣、やはり捻くれてますね(笑)

そして、雷獣なら姫に何をと。うーん、難しい御題ですね……
(アレとかアレとか、けしからん方向の事しか思い浮かびませんどうしよう)
思い付きませんか?思い付きませんよね、私も思い付きません。あんま興味無さそうですし彼。
『金儲けの材料』としてなら並々ならぬ興味を示しそうでもありますが 笑

御題、思い付きましたら何か書きますね!
有難うございました〜頑張ります。






テーマ : 拍手お返事
ジャンル : 小説・文学

ついったlog.1 ハクヨナ140修行(に、名前をつけてみる)

『regret』

お前を頂戴と強請ったら、お前は私にお前をくれた。
お前にただで貰ったものが大き過ぎて、もっと欲しいとは言えなくなった。

強欲なのに臆病者だなんて、我ながら笑える。
お前が欲しくて堪らないのに、あれ以上はないと拒絶されることが怖い。

ーーあんなこと、言うんじゃなかった。



✴︎



『derivative』

気が付けば、あの人は俺の心に居座ってた。

ガサツで我儘。おまけにやたら喧しい。笑い転げると爆発する、紅い髪は嫌いじゃねえけど。

ちょっと待てよ何でだよ俺。
あの人のいいとこなんて顔と男の趣味位じゃねえの。

ーー俺、見る目あるじゃねーか。

あいつを選んだ女がいいなんて。



✴︎



『milk‐white』

私を寝台に縫い付けて身を屈める男の姿をぼんやりと眺めた。
細身だけれど鍛え上げられた躰がしなやかな曲線を描いている。

「お前、猫みたい」
「猫?」
「うんーー可愛い」
「……ほう」

男は口元に笑みを刷く。
あ、やな予感。

「では全身隈なく毛繕いしましょうか、猫ですからね」



✴︎



『programming』

何度も何度もお前の名を呼ぶ。
たった二文字。お前の存在を示す記号。
その記号が愛しくて堪らない。

お前は普段、私の名を声には出さない。昔私が望んだように、今でも私を姫と呼ぶ。

けれど二人だけの密やかな時間に、一度だけ名を呼ばれる。
その瞬間が恋しくて、お前の許に忍び込むのだ。



✴︎



『霧雨』

密やかな吐息程の音色を奏でながら、細かな雨は森を薄絹で覆う。
ああ何て綺麗なのと私は空と大地と深緑が融け合う様を只眺めていた。

やがて雨の薄絹を越えお前は私の下へ。
雨を纏う姿が、深緑に滲む。

「ずぶ濡れですよ」
「お前もね」

薄絹の中、ふたり融け合っているのだと夢想した。





✴︎✴︎✴︎





ついった140修行。
logなのですが、一応名前を付けてみました。
色々書こうと思ってたのに此処まで全部ハクヨナだった……





テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

月桜キキ

Author:月桜キキ
月桜キキと申します。
数年振りに二次創作の世界に出戻って参りました。普段はしれっと会社員やってます。

暁のヨナ、聖闘士星矢(無印)を中心に、他ジャンルも時々。
NLBL混在しますのでご注意!

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