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姫時代ハクヨナsss 元拍手御礼。

『inorganics』



「ねえハク!見て」

上機嫌な声音と満面の笑顔と共に、ずいと突き出された左腕。
華奢な手首を飾るのは、多面体の紫水晶を連ねた見慣れぬ腕輪。

「はあ、紫水晶っすね」
「何よ、他に無いの?綺麗とか似合うとか」
「ーー別に」
「……もういい」

頬を膨らませぷいと横を向く彼女に聴こえぬよう俺は詰まんねえ、と呟いた。

透明なだけの詰まんねえ鉱石だ。外の光を受けて無機的に輝くだけの。

彼女の瞳と同じ色の筈なのに。
その輝きはまるで、違っていて。

「ホント、詰まんねえな」

俺はもう一度、独りごちた。





✴︎





『更紗』



降ろした髪が初夏の風に煽られるに任せ、晴れ渡る空を見上げた。

此処は城の外回廊で一番綺麗な景色が見える、私のお気に入りの場所だ。
ぼんやりと澄んだ青空を眺めていたら、突然視界が鮮やかな朱色に遮られた。

「ちょっと……!ハク!」

私にこんな悪戯を仕掛ける不届き者は宮殿内でたった一人しか居ない。
自信を持って幼馴染の名を呼びながらも目を凝らせば、視界を遮るのは織り目の荒い布地だと分かる。
頭からすっぽりと被せられた布地を掴むと、ざらりとした慣れない感触。
こんな生地、初めてだ。

「日焼けしますよ、姫さん。いいんですか?近々スウォン様がお越しになるってのに」
「……ハク?」
「焼け焦げた姿をスウォン様に晒してもいいってんなら、止めませんがね」

半分からかうような声音は、それでも何だか優し気で。
心配、してくれているのだと素直に思えた。

「あ、りがと」
「……あんたホント、スウォン様の事になると単純っすね」
「一言多い!」

視界を確保するために少しだけ布地をずらし、私は何時もの応酬に興じながら視線を落とした。
腰まで届く大判の布地の端にはとりどりの鮮かな色糸が幾重にも織り込まれ。
小さな色石と共に編まれた金糸の房飾りが布地の周囲をぐるりと取り囲んでいる。

「綺麗……これ、どうしたの?」
「風の部族の交易品です。良い品を仕入れたって報告があったんで、取り寄せました」
「ーー私に?」
「俺が持ってても仕方無いでしょうが」

これを身に纏ったハクの姿を想像したら可笑しくて、思わず吹き出しそうになったけれども。

「ありがと、ハク」

笑いを誤魔化すように御礼を言って、私は朱色の布地を被り直す。

しゃらり、と耳触りの良い軽い音色が奏でられ。
新緑のように甘く爽やかだけれど、微かに癖のある不思議な芳香が私を包み込んだ。



異国の匂いだと、思った。










✴︎✴︎✴︎



二週間ばかり拍手御礼に設置してたsss。
ちょっと思うところがあり、拍手をデフォルトに戻したのでこちらに再録。





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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

月桜キキ

Author:月桜キキ
月桜キキと申します。
数年振りに二次創作の世界に出戻って参りました。普段はしれっと会社員やってます。

暁のヨナ、聖闘士星矢(無印)を中心に、他ジャンルも時々。
NLBL混在しますのでご注意!

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